CADで用いる用紙の寸法は?規格やサイズごとの用途も紹介します
CADで用いる用紙のサイズについて
CAD(Computer-Aided Design、コンピューター支援設計)では、図面の作成や印刷に適した標準的な用紙サイズが使用されます。これらの用紙サイズは、国際標準規格(ISO 216)やJIS(日本工業規格)、およびアメリカのANSI規格に基づいて決められており、用途に応じて適切なサイズが選ばれます。
本記事では、CADでよく用いられる用紙サイズについて、以下の項目に沿って詳しく説明します。
- CADで使用される主要な用紙規格
- ISO(Aシリーズ・Bシリーズ)の概要と用途
- JIS規格における用紙サイズ
- アメリカで使用されるANSI規格
- 用紙サイズの選定基準
- 図面の折りたたみ方と保管
- プリント時の設定と注意点
- まとめ
CADで使用される主要な用紙規格
CADで使用される用紙サイズは、大きく分けて以下の3種類の規格に基づいています。
- ISO 216(国際規格)
- Aシリーズ(A0, A1, A2, A3, A4 など)
- Bシリーズ(B0, B1, B2 など)
- JIS(日本工業規格)
- 日本ではAシリーズ・Bシリーズの両方が使われる
- ANSI(米国規格)
- ANSI A, B, C, D, E などのサイズ
CAD図面の印刷や設計図の作成においては、用途に応じて適切なサイズが選ばれます。特に、建築・土木・機械設計などの分野では、大判サイズ(A0, A1, B0, B1 など)が主に使用されます。
ISO(Aシリーズ・Bシリーズ)の概要と用途
ISO 216は、世界的に標準とされる用紙サイズの規格であり、AシリーズとBシリーズに分類されます。
Aシリーズ
Aシリーズは、用紙の縦横比が1:√2(約1:1.414)となっており、半分に折ると同じ比率を保ちながらサイズが縮小されるのが特徴です。
用紙サイズ | 縦(mm) | 横(mm) | 主な用途 |
---|---|---|---|
A0 | 1189 | 841 | 大型ポスター、建築図面 |
A1 | 841 | 594 | 設計図、建築図面 |
A2 | 594 | 420 | 設計図、製図 |
A3 | 420 | 297 | 回路図、小型設計図 |
A4 | 297 | 210 | 技術資料、設計書 |
特にA1サイズ(841mm×594mm)は、建築や機械設計の図面でよく使用され、詳細な図面を描くのに適しています。
Bシリーズ
Bシリーズは、Aシリーズより一回り大きく、特に日本やヨーロッパの印刷業界で広く使われます。JIS規格のBシリーズは、国際規格のBシリーズとは若干異なります。
用紙サイズ | 縦(mm) | 横(mm) | 主な用途 |
---|---|---|---|
B0 | 1456 | 1030 | 大型ポスター、建築図面 |
B1 | 1030 | 728 | 設計図、プレゼン資料 |
B2 | 728 | 515 | 設計図、小型図面 |
B3 | 515 | 364 | 技術資料 |
B4 | 364 | 257 | 仕様書、製本 |
B1やB2サイズは、Aシリーズよりも大きめの図面を作成する際に使用されます。特に建築業界ではB1サイズがよく使われます。
JIS規格における用紙サイズ
JIS(日本工業規格)は、ISO 216を基にしており、AシリーズとBシリーズの両方が採用されています。日本では特にBシリーズが使われることが多く、建築業界ではB1やB2が標準とされています。
アメリカで使用されるANSI規格
アメリカでは、ANSI(American National Standards Institute)が定めた用紙サイズが使用されており、日本やヨーロッパとは異なる基準があります。
ANSI規格 | 縦(in) | 横(in) | 縦(mm) | 横(mm) | 用途 |
---|---|---|---|---|---|
ANSI A | 8.5 | 11 | 216 | 279 | レターサイズ(A4相当) |
ANSI B | 11 | 17 | 279 | 432 | 中型設計図 |
ANSI C | 17 | 22 | 432 | 559 | 大型設計図 |
ANSI D | 22 | 34 | 559 | 864 | 建築・土木用図面 |
ANSI E | 34 | 44 | 864 | 1118 | 超大型設計図 |
アメリカの建築・機械設計ではANSI D(22×34インチ)やANSI E(34×44インチ)が一般的に使用されます。
用紙サイズの選定基準
CADで図面を作成する際、以下の基準に基づいて用紙サイズを選択します。
- 図面の用途(建築・機械・回路設計など)
- 図面の詳細度(細かい寸法が必要か)
- プリンタの対応サイズ(A1・A2対応か)
- 国際規格の遵守(ISO, JIS, ANSI)
図面の折りたたみ方と保管
大判図面は折りたたんで保管することが多く、JISやISOでは折りたたみの標準手順も規定されています。特にA1サイズの図面をA4サイズに折ることが一般的です。
プリント時の設定と注意点
- 用紙サイズと縮尺を確認
- 適切な余白を設定
- カラー・モノクロの選択
- プリンタの対応サイズを確認
まとめ
CADで使用される用紙サイズは、ISO(Aシリーズ・Bシリーズ)、JIS、ANSIなどの規格に基づいており、用途に応じて選択されます。特に、A1・B1サイズの図面が建築・機械設計において広く使用されており、アメリカではANSI規格が採用されています。
適切な用紙サイズを選ぶことで、作業効率を向上させ、正確な図面作成を実現できます。