CAD

CADの拡張子にはどんな種類がある?主な種類や対応ソフトウェアを紹介

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はじめに

CAD(Computer-Aided Design)は、設計や製図を支援するソフトウェアの総称です。CADソフトウェアは多くの種類があり、それぞれ独自のファイル形式(拡張子)を持っています。本記事では、主要なCADの拡張子について、その特徴や用途を詳しく解説します。

主要なCADの拡張子

DWG(.dwg)

DWGは、AutoCADを開発したAutodesk社によって作成されたファイル形式で、2Dおよび3Dの設計データを保存するために使用されます。

特徴:

  • AutoCADをはじめ、多くのCADソフトでサポートされている。
  • 図面データ、レイヤー、ブロック、寸法などの情報を保持できる。
  • DWGのバージョンによって互換性に違いがある(例:古いAutoCADでは新しいDWGを開けない場合がある)。

対応ソフトウェア:

  • AutoCAD
  • DraftSight
  • BricsCAD
  • ZWCAD など

DXF(.dxf)

DXF(Drawing Exchange Format)は、異なるCADソフトウェア間でデータを交換するために開発されたファイル形式です。

特徴:

  • ASCIIテキスト形式またはバイナリ形式で保存可能(バイナリ形式の方がファイルサイズが小さいが、人間が編集しにくい)。
  • ソフトウェア間の互換性が高く、異なるCADツール間でのデータ交換に適している。
  • 2Dおよび3Dデータの保存が可能。

対応ソフトウェア:

  • AutoCAD
  • SolidWorks
  • SketchUp
  • FreeCAD など

STL(.stl)

STL(Stereolithography)は、3DプリントやCAM(Computer-Aided Manufacturing)向けに特化したフォーマットです。

特徴:

  • 三角形メッシュで3D形状を表現する。
  • テキスト(ASCII)形式とバイナリ形式の2種類がある。
  • カラー情報やマテリアル情報を持たない。

対応ソフトウェア:

  • AutoCAD
  • Fusion 360
  • SolidWorks
  • Blender
  • 3Dプリントソフト(Cura, PrusaSlicerなど)

STEP(.step, .stp)

STEP(Standard for the Exchange of Product model data)は、異なる3D CADソフトウェア間でのデータ交換を目的とした国際標準フォーマットです。

特徴:

  • 3Dオブジェクトの形状、アセンブリ構造、材料情報を保持できる。
  • 高い互換性を持ち、多くのCADソフトウェアで使用可能。
  • 正確な設計データをやり取りするのに適している。

対応ソフトウェア:

  • CATIA
  • SolidWorks
  • Siemens NX
  • PTC Creo など

IGES(.iges, .igs)

IGES(Initial Graphics Exchange Specification)は、3D CADモデルのデータ交換のために設計されたフォーマットです。

特徴:

  • 2Dおよび3Dデータの交換が可能。
  • サーフェスモデルのやり取りに適している。
  • 最近ではSTEPに置き換えられつつある。

対応ソフトウェア:

  • CATIA
  • SolidWorks
  • Siemens NX
  • FreeCAD など

その他の3D関連フォーマット

OBJ(.obj)

  • 3DプリントやCG、ゲーム業界で広く使われる。
  • カラー情報やテクスチャを保持可能。
  • 多くの3Dモデリングソフトで対応。

FBX(.fbx)

  • Autodeskが開発したフォーマット。
  • 3Dアニメーションやゲームエンジン(Unity、Unreal Engineなど)でよく使用。
  • 複数のオブジェクトやアニメーション情報を含めることができる。

CAD拡張子の選び方

CADの拡張子を選ぶ際には、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。

  • 使用するCADソフトに適したフォーマットか(例:AutoCADならDWG、SolidWorksならSLDPRT)
  • 互換性が必要か(異なるソフトウェア間でデータ交換するならDXFやSTEP)
  • 3Dプリントに対応しているか(STLやOBJ)
  • 履歴やパラメトリックデータが必要か(SolidWorksのSLDPRTなど)

以下の表で、主要なCAD拡張子の比較をまとめました。

拡張子用途互換性代表的なソフト
DWG2D/3D図面△(AutoCAD中心)AutoCAD, BricsCAD
DXFデータ交換◎(互換性高い)AutoCAD, SolidWorks
STL3Dプリント○(シンプルな形状)Fusion 360, Blender
STEP3Dモデル交換◎(国際標準)SolidWorks, CATIA
IGES3Dサーフェス△(STEPに移行傾向)FreeCAD, Siemens NX
OBJCG/ゲーム/3Dプリント○(テクスチャあり)Blender, Maya
FBXアニメーション○(ゲーム向け)Unity, Unreal Engine

まとめ

CADの拡張子は多岐にわたり、それぞれの用途に応じた特徴を持っています。使用するソフトウェアや目的に応じて適切なファイル形式を選択することが重要です。特に異なるソフト間でデータをやり取りする際は、STEPやDXFのような互換性の高いフォーマットを利用するとスムーズに作業が進められます。

適切なフォーマットの選択は、設計プロセスの効率化にも大きく貢献します。用途に応じた最適な拡張子を活用しましょう。

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このブログではCADや機械設計に関する情報を発信しています。特に、これからCADを学びたい方や、副業としてCADを活用したい方に向けて、「製図の基礎」「CADの概要」「鋼材・材料の規格」「設計の基礎知識」など、役立つ情報を分かりやすく解説していきます。
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