製図

機械製図で使用する線種の一覧を紹介/用途や種類についても解説

cad_design_office

機械設計の製図では、部品や機構の形状、寸法、関係性を正確に伝えるためにさまざまな種類の線が使用されます。これらの線は、JIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)によって規定されており、統一された基準に基づいて描かれることで、設計者や製造者が正しく情報を理解できるようになっています。

以下では、機械製図においてよく使用される線の種類とその用途について詳しく説明します。

輪郭線(実線)

概要

部品や機械要素の見える部分の輪郭を表す線です。最も基本的な線種であり、太い実線(普通は0.5mm程度)が用いられます。

用途

  • 図面の中で最も目立たせる必要があるため、他の線よりも太めに描かれる。
  • 部品の外形や、可視部分の形状を表す。

隠れ線(破線)

概要

物体の裏側にあり、直接見えない部分を表す線で、破線(短い線の連続)として表現されます。

用途

  • 部品の内部構造や、他の部品に隠れた部分を示す。
  • 製造時や組み立て時に見えない部分の形状を伝える。

注意点

  • 隠れ線を過剰に使用すると図面が見にくくなるため、できる限り断面図を活用する。
  • 重要でない場合や、密集して見にくくなる場合は省略することもある。

中心線(一点鎖線)

概要

円や対称形状の中心を示すための線です。細い一点鎖線(細線+点+細線の繰り返し)として描かれます。

用途

  • 円形の穴やボス(突起)の中心を示す。
  • 対称形状の中心軸を表す。
  • 回転軸の中心位置を明示する。

注意点

  • 必要以上に長く描かないようにする。
  • 他の線と交差する場合、できるだけ隠れ線よりも優先して描く。

寸法線(細実線)

概要

寸法値を示すための線で、通常は細い実線として描かれます。

用途

  • 寸法値を記載するための基準となる。
  • 寸法補助線と組み合わせて、部品の大きさを明確に示す。

寸法補助線(細実線)

概要

寸法線と部品の形状をつなぐための細い実線です。

用途

  • 寸法線の起点と終点を示すために使用される。
  • 寸法線と対象物を明確に分ける。

切断線(太一点鎖線)

概要

断面図を描く際に、どの位置で切断したかを示す線です。太めの一点鎖線が使用され、切断面の方向を矢印で示します。

用途

  • 断面図を描く際の基準として使用される。
  • 切断面の名称(A-A、B-Bなど)を付けることで、図面の整合性を保つ。

破断線(フリーハンドまたはジグザグ線)

概要

長い部品などを図面内に収めるために、一部を省略して表すときに使用されます。

用途

  • 長いシャフトやパイプなどを省略して描くことで、図面の見やすさを向上させる。
  • 省略したことを明確にするために、ジグザグ形状やフリーハンドで描かれる。

指示線(細実線)

概要

部品の特定の部分に関する指示(加工指示や仕上げ指示など)を示すための線です。

用途

  • 部品の材質や仕上げ処理を指示するために使用。
  • 面取りや溝加工の指示を記載。

溶接記号線

概要

溶接部分を指定するために使用される線で、通常は実線を基準に溶接記号を付加します。

用途

  • 溶接の種類や形状を明確に示す。
  • JIS規格に従い、適切な記号を記載する。

基準線(太実線または細実線)

概要

基準となる部分を示すための線です。

用途

  • 仕上げ面や加工基準を指示する際に使用。
  • 幾何公差の基準を示すことが多い。

ねじ線(細実線または細い二重線)

概要

ねじ山やねじ穴を表現するための線です。

用途

  • ねじの外形(細実線)と内径(細い二重線)を示す。
  • ISOやJISに準拠した表記方法を使用する。

まとめ

機械設計の製図では、各線の役割が明確に分かれており、それぞれの意味を理解して適切に使用することが重要です。主な線種とその用途を以下にまとめます。

線の種類形状用途
輪郭線太い実線部品の外形や見える輪郭を示す
隠れ線破線見えない部分を示す
中心線一点鎖線円や対称形状の中心を示す
寸法線細実線寸法を記載するための線
寸法補助線細実線寸法線を補助する
切断線太一点鎖線断面を示す
破断線ジグザグ線長い部品を省略する
指示線細実線特定の指示を示す
溶接記号線実線+記号溶接の種類を指定
基準線太実線または細実線加工基準を示す
ねじ線細実線または細い二重線ねじ山を表す

これらの線を適切に使い分けることで、図面の正確性と読みやすさが向上し、設計や製造のミスを防ぐことができます。

ABOUT ME
このブログではCADや機械設計に関する情報を発信しています。特に、これからCADを学びたい方や、副業としてCADを活用したい方に向けて、「製図の基礎」「CADの概要」「鋼材・材料の規格」「設計の基礎知識」など、役立つ情報を分かりやすく解説していきます。
記事URLをコピーしました