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【保存版】旧JISと現行JISの違い・対応表まとめ|鋼材・ねじ・図記号をやさしく解説

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設計や製図の現場では、古い図面を見かけることもあります。そうした図面には、今のルールとは違う「旧JIS(きゅう ジス)」という記号や表記が使われていることがあります。

これを理解していないと、図面が正しく読めなかったり、誤解してしまう原因になります。

この記事では、特によく使われる 鋼材(こうざい)・ねじ・製図の記号 について、「旧JIS」と「現在のJIS(=現行JIS)」の違いをわかりやすく解説します。

旧JISとは?

旧JIS(きゅうジス)とは、今から数十年前に使われていた日本の工業規格(JIS)の古いバージョンのことです。

現在では、多くのJIS規格が国際的な基準(ISO)に合わせて新しくなりましたが、古い機械や昔の図面では、今でも旧JISの記号が使われていることがあります。

  • 旧JISの例
    • JIS G 3101-1970
    • SS41(現在のSS400に相当)
    • W1/2(ウィットねじ)
  • よく使われていた時代:1950年代〜1980年代ごろ

鋼材の旧JISと現行JISのちがい(対応表)

鋼材(こうざい)とは、鉄などの金属材料のことです。図面では材料の種類を記号で指定します。

用途旧JIS記号現行JIS記号説明・ポイント
一般的な構造用の鋼SS41SS400強さの単位がMPaに変更されました。意味はほぼ同じです。
機械に使う炭素鋼S25C、S45C同じ記号を継続使用内容が少し改訂されています。
工具用の炭素鋼SK3〜SK7同じ記号記号に西暦が併記されるようになりました。
合金鋼(クロムモリブデン鋼など)SCM435など同じ記号規格がISOに近づくよう変更されています。

ねじの旧JISと現行JIS(ISO)との対応

ねじにも、昔と今で記号が変わっている場合があります。以下に代表的な例を紹介します。

種類旧JIS現行JIS(ISO)補足説明
並目ねじM10×1.5M10×1.5表記は同じで、互換性があります。
細目ねじM10×1.25M10×1.25これも表記は同じですが、ISOに準拠しています。
ウィットねじW3/8, W1/2廃止傾向古い機械で使用例あり。新しい設計では使われません。
管用ねじPT(テーパねじ)、PF(平行ねじ)R, G(ISO規格)PT → R、PF → G に読み替えます。
ユニファイねじUNC, UNFISOでは使われません米国規格です。海外製品では出てくることがあります。

製図記号(図面に使われる記号)の違い

表面粗さ記号(仕上がりのきれいさを示す記号)

内容旧JIS記号現行JIS記号ポイント
加工あり⌒(斜線)⌒に矢印が付いた記号記号の形が変わりました。意味は似ています。
加工なし⌒に×印ISO形式の×記号付き意味は同じですが、記号が変わりました。
向きの指定あり斜線+方向マークISO形式の矢印矢印で向きを明示できます。

溶接記号(部品のつなぎ方を示す記号)

種類旧JIS記号現行JIS記号ポイント
フィレット溶接▷(台形)ISO記号に変更記号の上下の位置で意味が変わります。
突合せ溶接I, V など同じ記号だが記述方法が変更並び順や配置にルールがあります。

寸法と公差の違い

図面では、寸法やその許容範囲(=公差)も重要です。

内容旧JIS現行JISポイント
公差等級IT6, IT7 など同じ記号を使用単位などの表記がISOに合わせて変更されました。
幾何公差記号Ⓜ(最大実体条件)など同じ記号意味は同じですが、国際ルールに合わせて使います。

図面を読むときのポイント(初心者向け)

図面に古いJISの記号が出てきたら、以下の点に注意しましょう。

  • 「SS41」 は現在の「SS400」と読み替えてOK
  • 「PTねじ」 は「Rねじ」と置き換える
  • 記号の意味はほぼ同じでも、形や配置が違うことがあります

まとめ

旧JISの記号は、今の設計には使われませんが、古い図面や既存の機械・装置にはまだたくさん使われています。

設計初心者の方も、旧JISと現行JISの違いを知っておくことで、図面を正しく読み取る力がつきます。

今後、古い設備の保守やリバースエンジニアリング(図面なしの部品から図面を起こす作業)をする機会がある場合にも、とても役立つ知識です。

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