幾何公差とは?役割や活用法についても解説
cad_design_office
CAD設計事務所
設計や製図の現場では、古い図面を見かけることもあります。そうした図面には、今のルールとは違う「旧JIS(きゅう ジス)」という記号や表記が使われていることがあります。
これを理解していないと、図面が正しく読めなかったり、誤解してしまう原因になります。
この記事では、特によく使われる 鋼材(こうざい)・ねじ・製図の記号 について、「旧JIS」と「現在のJIS(=現行JIS)」の違いをわかりやすく解説します。
旧JIS(きゅうジス)とは、今から数十年前に使われていた日本の工業規格(JIS)の古いバージョンのことです。
現在では、多くのJIS規格が国際的な基準(ISO)に合わせて新しくなりましたが、古い機械や昔の図面では、今でも旧JISの記号が使われていることがあります。
鋼材(こうざい)とは、鉄などの金属材料のことです。図面では材料の種類を記号で指定します。
用途 | 旧JIS記号 | 現行JIS記号 | 説明・ポイント |
---|---|---|---|
一般的な構造用の鋼 | SS41 | SS400 | 強さの単位がMPaに変更されました。意味はほぼ同じです。 |
機械に使う炭素鋼 | S25C、S45C | 同じ記号を継続使用 | 内容が少し改訂されています。 |
工具用の炭素鋼 | SK3〜SK7 | 同じ記号 | 記号に西暦が併記されるようになりました。 |
合金鋼(クロムモリブデン鋼など) | SCM435など | 同じ記号 | 規格がISOに近づくよう変更されています。 |
ねじにも、昔と今で記号が変わっている場合があります。以下に代表的な例を紹介します。
種類 | 旧JIS | 現行JIS(ISO) | 補足説明 |
---|---|---|---|
並目ねじ | M10×1.5 | M10×1.5 | 表記は同じで、互換性があります。 |
細目ねじ | M10×1.25 | M10×1.25 | これも表記は同じですが、ISOに準拠しています。 |
ウィットねじ | W3/8, W1/2 | 廃止傾向 | 古い機械で使用例あり。新しい設計では使われません。 |
管用ねじ | PT(テーパねじ)、PF(平行ねじ) | R, G(ISO規格) | PT → R、PF → G に読み替えます。 |
ユニファイねじ | UNC, UNF | ISOでは使われません | 米国規格です。海外製品では出てくることがあります。 |
内容 | 旧JIS記号 | 現行JIS記号 | ポイント |
---|---|---|---|
加工あり | ⌒(斜線) | ⌒に矢印が付いた記号 | 記号の形が変わりました。意味は似ています。 |
加工なし | ⌒に×印 | ISO形式の×記号付き | 意味は同じですが、記号が変わりました。 |
向きの指定あり | 斜線+方向マーク | ISO形式の矢印 | 矢印で向きを明示できます。 |
種類 | 旧JIS記号 | 現行JIS記号 | ポイント |
---|---|---|---|
フィレット溶接 | ▷(台形) | ISO記号に変更 | 記号の上下の位置で意味が変わります。 |
突合せ溶接 | I, V など | 同じ記号だが記述方法が変更 | 並び順や配置にルールがあります。 |
図面では、寸法やその許容範囲(=公差)も重要です。
内容 | 旧JIS | 現行JIS | ポイント |
---|---|---|---|
公差等級 | IT6, IT7 など | 同じ記号を使用 | 単位などの表記がISOに合わせて変更されました。 |
幾何公差記号 | Ⓜ(最大実体条件)など | 同じ記号 | 意味は同じですが、国際ルールに合わせて使います。 |
図面に古いJISの記号が出てきたら、以下の点に注意しましょう。
旧JISの記号は、今の設計には使われませんが、古い図面や既存の機械・装置にはまだたくさん使われています。
設計初心者の方も、旧JISと現行JISの違いを知っておくことで、図面を正しく読み取る力がつきます。
今後、古い設備の保守やリバースエンジニアリング(図面なしの部品から図面を起こす作業)をする機会がある場合にも、とても役立つ知識です。