製図

製図の尺度とは?JISで推奨される尺度や表記・選定について解説

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製図の尺度とは

製図の尺度とは、実際の物体の寸法を図面上にどの程度の比率で表すかを示すものである。建築、機械、電気などの各分野で異なる尺度が使用されるが、JIS(日本産業規格)では統一された尺度を規定している。尺度を適切に選定することは、図面の可読性や精度に影響を与えるため、製図の基本として重要である。

JISにおける尺度の分類

JIS B 0001「製図一般規則」では、尺度は以下のように分類されている。

2.1 実物大(1:1) 実際の大きさと同じ寸法で描く尺度。精密な部品図や詳細図に使用される。

2.2 縮小尺度(1:X) 実物よりも小さく描く尺度。建築図面や機械の組立図、大型設備の配置図などに使用される。

  • 例:1:2, 1:5, 1:10, 1:20, 1:50, 1:100, 1:200, 1:500, 1:1000, 1:2000

2.3 拡大尺度(X:1) 実物よりも大きく描く尺度。微細な部品や電子部品の製図などに用いられる。

  • 例:2:1, 5:1, 10:1, 20:1, 50:1, 100:1

JIS規格で推奨される尺度

JIS B 0001では、上記の尺度の中から特に使用が推奨されるものがある。

  • 一般機械製図:1:1, 1:2, 1:5, 1:10, 1:20, 1:50, 1:100
  • 建築製図:1:50, 1:100, 1:200, 1:500, 1:1000
  • 土木製図:1:500, 1:1000, 1:2000, 1:5000

図面の種類や用途に応じて適切な尺度を選ぶことが求められる。

製図尺度の表記方法

尺度を図面上で明示するために、JISでは統一された記述方法が規定されている。

4.1 尺度の記述 尺度は図面の表題欄(タイトルブロック)に「SCALE: 1:50」のように表記する。和文表記では「尺度 1:50」と記載される場合もある。

4.2 複数の尺度を使用する場合 図面内で異なる尺度が併用される場合、各部分の近くに「SCALE 1:10」などと個別に記載する。

尺度の選定基準

尺度の選定には、以下の要素を考慮する必要がある。

  • 図面の用途:設計図、製造図、組立図などの目的に応じた尺度を選ぶ。
  • 図面の大きさ:A0, A1, A2, A3, A4などの紙のサイズに適した尺度を選ぶ。
  • 可読性:小さすぎると寸法や詳細が確認しにくくなるため、適切な倍率を選ぶ。
  • 精度:特に加工精度が求められる場合は、拡大尺度を用いることもある。

尺度に関する注意点

尺度を選定する際には、以下の点に注意する。

  • 統一性の確保:同じ種類の図面では、できるだけ統一した尺度を使用する。
  • 誤読防止:尺度が変わる場合は、明確に記載し、視認性を確保する。
  • デジタル製図での適用
    • CADソフトを使用する場合、画面上では1:1で作図し、出力時に尺度を設定するのが基本。
    • 出力時の縮尺設定に注意し、実寸と適合するように設定する。

まとめ

JIS規格に基づく製図の尺度は、図面の正確性と可読性を向上させるために重要な要素である。適切な尺度を選び、明確に表記することで、製造や施工における誤解を防ぎ、スムーズな業務遂行を可能にする。

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