S45Cはどんな性質？一般的な特徴や他の鋼材との比較も紹介

S45Cとは？

S45Cは、日本工業規格（JIS G 4051）に規定された機械構造用炭素鋼の一種です。「S」はSteel（鋼）を意味し、「45」は炭素含有量が約0.45%であることを示します。「C」はCarbon（炭素）を表し、中炭素鋼（0.3～0.6%の炭素を含む鋼材）に分類されます。

S45Cは、強度と靭性のバランスが取れており、熱処理による性質の変化も可能なため、機械部品や構造材として広く使用されています。

S45Cの化学成分と機械的性質

化学成分（JIS G 4051 規定値）

S45Cの化学成分は以下の通りです。

S45Cは炭素含有量が約0.45%と中程度であり、SS400（C含有量0.05～0.23%）に比べて硬度と強度が高くなっています。一方で、炭素含有量が増えることで、溶接性や加工性はSS400よりも低くなります。

機械的性質（代表値）

S45Cの代表的な機械的特性は以下の通りです。

S45Cは熱処理を行うことで、強度・硬度を大幅に向上させることができます。そのため、シャフトや歯車、ボルトなど、高い強度が求められる部品に適しています。

S45Cの製造方法と表面の違い

S45Cは、圧延や鍛造、鋳造などの方法で製造され、製造方法によって表面の状態や性質が異なります。

熱間圧延（Hot Rolled）

熱間圧延材は、約1,200℃の高温で圧延加工されるため、表面に酸化スケール（黒皮）が付着し、仕上げ面が粗くなります。

熱間圧延の特徴：

• 表面がザラザラしており、酸化スケールがある
• 寸法精度が低め（追加の研削加工が必要）
• 機械加工前に黒皮除去（酸洗い、ショットブラスト）が必要

冷間引抜き（Cold Drawn）

冷間引抜き材は、熱間圧延材を室温でさらに加工することで、より精密な寸法精度と滑らかな表面を得ることができます。

冷間圧延の特徴：

• 表面が滑らかで寸法精度が高い
• 内部応力が増加するため、焼鈍処理が必要な場合がある
• 強度がやや向上する

S45Cは、最終用途に応じて適切な加工方法が選択されます。

S45Cのサイズと形状

S45Cは、以下のような形状で供給されます。

S45Cの加工性と取り扱いの注意点

切削加工

S45CはSS400よりも硬度が高いため、切削性がやや劣ります。適切な切削工具と切削条件の設定が重要です。

切削のポイント：

• 超硬工具を使用すると加工効率が向上
• 適切な切削速度と切削油を使用し、工具の寿命を延ばす
• 焼入れ後の硬度が高い場合は研削加工を検討

熱処理

S45Cの特性を最大限に活かすためには、調質（焼入れ＋焼戻し） が重要です。

熱処理の影響：

• 焼入れにより高い強度と耐摩耗性を実現
• 焼戻しで靭性を向上させ、脆性を防ぐ
• 高周波焼入れを行うと、表面硬度を局所的に向上可能

溶接

S45Cは炭素含有量が0.45%と比較的高いため、溶接性が低く、溶接時のひび割れが発生しやすいです。

溶接のポイント：

• 予熱（150～300℃）を行い、急冷を避ける
• 溶接後の焼鈍処理で応力を除去
• 低水素系溶接棒を使用すると割れを防止

防錆処理

S45Cは耐食性が低いため、防錆処理が必要です。

防錆方法：

• 黒染め処理（機械部品に多い）
• 亜鉛メッキ（ボルトやナット）
• 防錆油塗布（保管時の腐食防止）

まとめ

S45CはJIS G 4051に規定された中炭素鋼であり、機械部品や構造材に適した強度・硬度を持つ鋼材 です。

主なポイント：

• 熱処理によって強度や耐摩耗性を向上可能
• 切削・溶接には注意が必要（適切な予熱・工具選定）
• 耐食性が低いため防錆処理が推奨される

適切な加工・熱処理を行うことで、高性能な機械部品を製作することができます。

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