加工

研削加工とは?特徴や他の加工方法との違いについて詳しく解説

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研削加工が必要な理由

製造業では、部品の精度表面仕上げが製品の品質や性能に大きく影響します。特に、以下のような場合には研削加工が不可欠です。

  • 高精度が求められる部品(例:ベアリング、金型、エンジン部品)
  • 硬度の高い材料の加工(例:焼入れ鋼、セラミックス、超硬合金)
  • 滑らかな表面仕上げが必要(例:光学部品、半導体製造装置)

研削加工は、他の加工方法では実現できない精度や品質を提供し、製品の寿命や性能向上に貢献します。

研削加工とは

研削加工(Grinding)は、砥石を用いて工作物を微細に削る加工方法です。砥石には無数の砥粒が埋め込まれており、砥粒が高速回転することで材料を少しずつ削り取ります。砥粒はランダムに配置されており、一つ一つが小さな切れ刃の役割を果たします。また、削られたカス(研削屑)は研削液を用いて排出されるため、仕上げ面の品質が向上します。

研削加工の特徴

研削加工の長所

  • 高精度な寸法公差(μm単位)
  • 優れた表面仕上げ(低い表面粗さ)
  • 硬い材料(焼入れ鋼、超硬合金、セラミックス)の加工が可能
  • 最終仕上げ加工に適している

切削加工の短所

  • 加工速度が遅い(大量の材料除去には不向き)
  • 砥石の摩耗による定期的な交換が必要
  • 熱の発生が多く、熱損傷のリスクがある

研削加工の種類

研削加工は目的や形状に応じてさまざまな方法があります。

種類特徴用途
平面研削平面を高精度に仕上げる金型、精密機械部品(例:スライドガイド)
円筒研削円筒形状の外周・内径を研削クランクシャフト、ベアリング(回転部品の精度向上)
内面研削穴の内側を高精度に仕上げる油圧部品のシリンダー内面(シール性向上)
センターレス研削工作物を回転軸で支えずに研削シャフト、ピンの大量生産(生産効率向上)
歯車研削歯車の歯面を仕上げる自動車や産業機械のギア(摩擦低減、寿命向上)

砥石の種類

砥石の種類は、加工性能に大きく影響します。

砥粒の種類と用途

  • アルミナ(A):一般鋼材の研削(例:工具鋼)
  • 炭化ケイ素(C):非鉄金属や鋳鉄の研削(例:アルミニウム、銅)
  • CBN(立方晶窒化ホウ素):焼入れ鋼などの高硬度材料(例:ハイス鋼)
  • ダイヤモンド砥石:セラミックスや超硬合金(例:精密部品)

結合剤の種類と選び方

  • ビトリファイド砥石:硬度が高く耐久性あり(精密加工向け)
  • レジノイド砥石:熱の影響を受けにくい(高温環境での加工に適する)
  • メタルボンド砥石:精密研削向け(超硬材料の加工に最適)

研削加工と他の加工方法の違い

項目研削加工旋削・旋盤
(ターニング)
フライス
(ミーリング)
放電加工(EDM)
工具砥石(多数の砥粒)バイト(単刃)エンドミル(多刃)電極(非接触)
精度μm単位の高精度旋削より高精度旋削よりやや高精度研削と同等またはそれ以上
表面仕上げ非常に滑らか比較的粗い比較的粗い熱影響層ができる
加工対象硬い材料も可能一般的な金属一般的な金属難削材、超硬合金
加工速度遅い速い速い非常に遅い

📌 ポイント:

  • 研削 vs 旋削:旋削は大量の材料除去向き、研削は仕上げ向き。
  • 研削 vs フライス:フライス加工は広範囲の加工が可能だが、研削ほどの精度は得られない。
  • 研削 vs 放電加工:放電加工は非接触で加工可能だが、熱影響層が発生するため、最終仕上げに研削が使われることが多い。
旋削加工(旋盤加工)についての紹介はこちら
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フライス加工についての紹介はこちら
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研削加工の活用フローチャート

    材料選定
        ↓
    荒加工(旋削・フライス)
        ↓
    中仕上げ加工(放電加工・ボーリング)
        ↓
    仕上げ加工(研削加工)
        ↓
    超仕上げ(ホーニング・ラッピング)

🔹 例:自動車のクランクシャフト

  1. 旋削で大まかな形状を作成
  2. フライス加工で溝や穴を加工
  3. 研削加工で高精度な表面仕上げ
  4. 必要に応じてホーニングで超仕上げ

まとめ

研削加工は、高精度・高品質な仕上げを実現する重要な加工方法です。しかし、加工速度の遅さや熱影響といった課題もあるため、他の加工方法と適切に組み合わせることが重要です。

  • 研削加工は最終仕上げに最適
  • 硬い材料でも高精度な加工が可能
  • 加工速度が遅く、熱影響に注意が必要
  • 他の加工方法と組み合わせることで最適な製造プロセスを構築できる
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